政宗くんのリベンジ1巻の感想。トンデモ設定だが、初期のニセコイみたいにノリノリで面白い


 政宗くんのリベンジは、2017年1月からアニメ化予定の作品です。

 幼い日に暴虐無人な残虐姫から「豚足」というあだ名を付けられた政宗くんが、山に住む祖父の元で長年鍛練を積み重ね、激やせしてイケメンになった姿で「残虐姫を恋に落として振る」という復讐を果たすために四苦八苦する……というお話。

 主人公の政宗は本当に幼い頃に残虐姫こと愛姫(あき)とは別れ、高校生になってかっこよくなった姿で元の町に戻ってくるところから物語は始まります。
 けど、政宗はイケメンになったという設定ではあるのですが、「イケメンならよだれ垂らしてても許されるのか!?」なんてセリフを頭に思い描いている様子はなんだかとてもわざとらしいです。
 まあ、元々山の中で修行していたから周りからの反応を受けるのは初めてだという話なのですが、それでもさすがに「イケメンだと〇〇なのか!」とかいうセリフははさすがに違和感を感じてしまいましたね。

 もっともそれも最序盤だけの話なので、気になった点と言えばそこくらいでした。その後は勢いのある展開に引き込まれ、一気に読み切ってしまいました。

 


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まず絵が良い

 このマンガは表紙と、それから巻頭の数ページがカラーなのですが、この色塗りの調子が個人的にはとても好みで気に入りました。というか、この表紙の絵に釣られてかったと言ってしまってもいいくらいです。

 ただ、表紙詐欺なんてことはなく、中身も最後まで表紙と同じようなクオリティを保っているので安心してください。

 
 愛姫や政宗の髪の描き方が特に好きですね。
 黒と白、コントラストが強めなべた塗りで描かれることが多く、全体的にスラッとした印象を受けました。

キャラクターの関係が楽しみの一つ

 話が変わるのですが、私はマンガ、「ニセコイ」を読んでいました。

 ニセコイは主人公の楽と、親との約束が絡んで偽の恋人関係を演じることになった千棘、楽が恋している(というか両思いな)小野寺などという魅力的なキャラクターが登場するのですが、物語の根本に「楽が小さい頃にある少女と約束をしていた」という謎があります。
 序盤では特にその約束の少女が小野寺か、千棘かーみたいな、ニセコイ固有の謎に対して悩んだりしていく様子が多く描かれていました。
 そこが私は好きだったんですよね。
 ちょっと、個人的にはニセコイの場合は途中からマンネリっぽく感じてしまうようになったのが残念なところでした。

 
 ただ、「政宗くんのリベンジ」を読んで再び、こういう奇妙な設定の絡んだラブコメは面白い! と感じました。
 豚足呼ばわりされた復讐に、愛姫を落としてみせる! と意気込み様々な行動に出る政宗は時にバカらしく、しかし愛姫のことを慕っていた本心はどこかもの寂しく感じられました。

 そんな政宗の抱えた過去の出来事込みで、愛姫と政宗、それからその周りの登場人物たちのやりとりの行く先を見てみたい気持ちになりました。

残虐姫のキャラクターからにじみ出る面白さ

 政宗くんは愛姫を恋に落としてやる! と意気込んでいます。
 それが物語の中心にあります。

 だから、愛姫がすぐに男に惚れてしまうような人物だったら、この物語はすぐに完結を迎えてしまうわけですが、もちろんそうはなりません。

 
 愛姫は何人もの男子から告白されていますが、それをにべもなく断ったり、それどころか何もしていない男子にまで「豚足」にも劣らないひどいあだ名を付けたりとやりたい放題です。
 政宗に対しても、他の登場人物と異なりものすごく態度が悪いです。

 愛姫のピンチを政宗が助けることになっても、まだまだ恋に落ちるにはほど遠く、メールアドレスを聞いただけでこっぴどい断られ方をしたりと気むずかしいの域を通り越した偏屈さを持ちそろえています。

 
 でも、だからこそ光るギャップがいいです。
 実はかなりの大食いで、それがバレないように気にしているのに政宗に見つかったりなど、完璧そうに見えて隙のあるところが可愛らしかったですね。
 
 特に、デート回でのものすごい間抜けっぷりは凄まじかったです。
 まさかデートにあんな服装で来るなんて……!! というのは、ネタバレを気にして伏せておきましょうかね。

 でも、あの回の始まり方が何かのパロネタかってくらいわざとらしい太文字で政宗の語りが書かれていたのは面白かったです。唐突な展開でしたが、あまりの爆発力に圧倒されてしまいましたね。

 
 それに、愛姫の見た目が良いからって、それだけで幼い日の政宗が残虐姫に恋することはなかったでしょう。
 1巻の終わりには、政宗が恋した愛姫の優しいところなんかも描かれ、その気持ちに政宗の復讐心が揺らいでしまうところで終わってしまいます。

 とは言え復讐がどうのこうの言っていても政宗は優しくて素直な人間性を持っていますから、きっとひどい展開にはならないと安心して楽しむことができるのもまた事実。
 2巻以降、政宗が自分の気持ちにどう向き合っていくのかなんてのも楽しみに読んできたいですね。

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